蕨市の菊地医院 内科、小児科、外科、皮膚科の診療

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内科・小児科・外科・皮膚科

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菊地医院コラム

経鼻内視鏡について②

6000システム

画像を強調する機能により内視鏡検査時の微小な病変の発見をサポートできる、
LED光源搭載内視鏡システム「6000システム」を新しく導入いたしました。

このシステムにはMulti-Light-Technology(マルチライトテクノロジー)と呼ばれる、レーザーやLEDなどの複数の光源を高精度に制御するとともに、画像処理を組み合わせることで、目的に応じた観察画像を作り出す技術が応用されております。

レーザー光源は2つの波長のレーザーがあり、それらの発光強度比を変えることで、通常観察と狭帯域光観察それぞれに適した照明となります。
2種類のレーザーの1つ、白色用レーザーは、蛍光体を発光させて通常の観察に適したスペクトル幅の広い白色光照明を得るために使用し、観察対象を自然な色で映し出すことができます。
もう一つの狭帯域光観察用レーザー(BLI用レーザー)は、波長が短くスペクトル幅が狭い特徴を利用して、粘膜表層の微細血管やわずかな粘膜の凹凸、深部の血管などコントラストを強調してシャープに映し出すことができます。

Laser illumination.

それぞれの光源によって得られた画像に信号処理を施すことで、通常の観察に適した白色光画像に加えて、微細な病変の発見をサポートするBLI画像とLCI画像を得ることができます。

マルチライトテクノロジーについて

BLI(Blue Light Imaging)はヘモグロビンの吸光特性と粘膜の散乱特性に基づき表層にある微細血管と深層にある血管を区別して画像化する技術です。短波長の光(狭帯域光観察用レーザー:BLI用レーザー)粘膜内部で散乱しにくく血管に吸収されやすい特性を持つため、表層微細血管は高コントラストに描出されます。
一方、長波長の光(白色光)は散乱しやすく血管に吸収されにくいため、表層微細血管は散乱の影響により低コントラストの輪郭がぼやけた画像になり、深層血管はコントラストの高い画像で描出されます。
この2つの画像を用いることで表層微細血管と深層にある血管を分離して表示することが可能になり、これらを画像処理したBLIモードは、粘膜表層の微細血管のコントラストを高めることを狙い、主として近接~拡大観察用として使用されます。

BLI画像

今回導入した6000システム(FUJIFILM)ではBLIと表記されますが、OLYMPUSではNBI(Narrow Band Imaging)と呼ばれます。NBIも粘膜表層の毛細血管や表面微細構造が強調表示され、モニター上では粘膜表層の毛細血管が茶色調に、深層血管がシアン(青緑)調に表示されます。
写真はOLYMPUS社製の内視鏡で検査した当院の胃がんの症例になりますが、それぞれ左側が白色光画像、右側がBLI画像になります。

IIa + IIc

2種類のレーザーの発光強度比を変えることで、白色光観察と狭帯域光観察それぞれに適した光を照射し、画像処理との組合せによって2つの観察タイプを切替えて使用できます。
LCI(Linked Color Imaging)は赤成分の画像を積極的に使用し、赤色付近の色を信号処理で強調します。
粘膜色付近のわずかな色の差を認識しやすくするため、赤味を帯びている色はより赤く、白っぽい色はより白くなるように、色の拡張と縮小を同時に行います。
色相が崩れることなく胃粘膜の色の差が強調され、腸上皮化生はラベンダー色として診断しやすく、H. Pylori未感染、現感染、既感染に一助になります。
炎症診断だけではなく癌の拾い上げがより容易になり、病変を見つけたら白色光観察からLCI観察へ切替えて、さらにBLIモードを用いた拡大観察という、目的に適した観察タイプを選択することができます。

BLI  LCI画像

LCI画像

光の波長の異なるレーザー光源を用いて観察し、またその画像の信号処理を行うことによる、「がんの生物学的、機能的な変化」を可視化する新しい診断機能が応用され、日常診療の中で、早期のがん病変の発見や微小な病変の発見が可能となりました。

6000システム
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